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社会・文化

H3ロケット 「失敗」の本質

JAXA「解体」が再出発の近道

2023年4月号

「自国での衛星打ち上げ能力は必要であり、そのうちH3ロケットも成功するだろう。しかし今回の失敗にいたる経緯やJAXAの責任はもっと検証されるべきだ」
 三菱重工業の内情を知る関係者はこう語る。
 三月七日、次期主力ロケットとなるべく種子島宇宙センターから打ち上げられたH3が海の藻屑と消えた。ロケット開発、宇宙開発に失敗はつきもの―。そんな常套句で片付けていいのだろうか。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が主体となって進めてきた日本のロケット開発のありかた自体に致命的な欠陥がある。

三菱重工を管理監督できない

「開発体制の総点検を」(日本経済新聞)「幅広い視野から検証を」(朝日新聞)「宇宙開発への打撃は深刻」(毎日新聞)。失敗を受けた各紙の社説にはこんな言葉が並んだ。中身は似たり寄ったりで、厳しく批判するというトーンではない。
 今回の打ち上げは、そもそも拙速だった。当初予定されていた二月十七日、H3は発射直前になって中止された。当時、これが「中止」なのか「失敗」なのかを巡って議論に・・・

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