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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「放送法」と安倍政権

検証・テレビ局「屈服」と自主規制

2023年4月号

 活字以上の訴求力を誇る映像メディアが、表現の自由、報道の自由を脅かす動きを黙認している。放送事業者の番組編集で「政治的公平」を求めた放送法第四条の解釈を巡る論戦に腰砕けとなっているテレビ局の姿勢のことだ。政権に対する忖度で自らの存在意義を見失っていたのは、霞が関ばかりではなかった。
 国会論戦を仕掛けたのは、立憲民主党の小西洋之参院議員だ。三月三日の参議院予算委員会で、総務省が安倍晋三政権当時に作成した行政文書をもとに、首相官邸の指示で放送法第四条の「政治的公平」をどう判断するかの解釈が変更され、「テレビ局が作る番組全体で判断する」との従来の立場から、「単一の番組でも判断できる」ようにしたのではないかと追及した。
 岸田文雄首相や松本剛明総務相が「従来の解釈を変えていない」と繰り返す中、矢面に立たされたのは、安倍政権で総務相を務め、二〇一五年の国会答弁で「これまでの解釈の補充的な説明」として、単一の番組でも放送法第四条違反の判断が可能だと発言した高市早苗・経済安全保障相だ。
 安倍政権では、テレビ局に陰に陽に「圧力」がかけられたとの疑念が幾度となく浮上し・・・

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