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社会・文化

「認知症予防」世界の最前線

競争激化する研究と開発

2023年7月号

「認知症は、遠くない将来、克服されるかもしれない」。神経内科専門医は言う。治療薬の開発が急速に進んでいるからだ。エーザイと米バイオジェンが共同開発した世界初の認知症治療薬レカネマブをはじめ、新薬開発は目白押しだ。既存薬の認知症への適応拡大も研究が進む。そこには帯状疱疹ワクチンによる予防の可能性も浮上している。薬物を使用しない非薬物療法では補聴器まで注目されている。こうした研究結果を一流の科学誌がこぞって掲載している。
 今年一月六日、米食品医薬品局(FDA)はレカネマブを迅速承認した。この薬は二週間ごとに点滴で投与される。薬価は年間二万六千五百ドル(約三百八十万円)だ。三月、エーザイは二〇三〇年度の売上が一兆円を超えるという予想を発表した。
 他社はエーザイを猛追している。五月三日、米イーライリリー社は、開発中のアルツハイマー病治療薬ドナネマブの第三相臨床試験の結果を発表した。初期アルツハイマー病の病状評価指標iADRSが、治療開始十八カ月の時点で、プラセボ群と比べて三五%改善したという。同社は今年第4四半期中にFDAに承認申請予定だ。

帯状疱疹ワクチンへの期待・・・

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