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政治

生成AI「活用賛成」の自民文教族

教育現場「右傾化」の奇妙な思惑

2023年8月号

 リスクを承知で突っ込み、損得勘定が黒字なら「果断」と称賛され、赤字なら「拙速」と非難される。公開から数カ月で社会に大きな影響を与えているチャットGPTをはじめ生成AI(人工知能)の教育現場での扱いをめぐり、「果断に使え」という声と「拙速は避けよ」と戒める意見が交錯する中、自民党の文教族が「教育改革の起爆剤になる」と前のめりだ。発想の底流には、「戦後の自虐史観を転換し、愛国心、道徳心を育む」狙いも見え隠れしている。
 文部科学省が、小中高の初等中等教育段階での「生成AIの利用に関するガイドライン」を公表したのは七月四日のこと。四月下旬に有識者や学校現場に同省がヒアリング調査を行ってから二カ月あまり、五月十六日に文科大臣の諮問機関である中央教育審議会の特別委員会で、生成AIの小中高での扱いについて議論が始まってから数えれば二カ月足らずでの超特急の対応だった。
 永田町、霞が関の基準では異例とも言えるスピード決定について文科相の永岡桂子は記者会見で「夏休みの課題に不適切に活用されることを懸念する声があった」と、「夏休み対策」が理由の一つだったと説明、ガイドラインは「暫定・・・

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