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社会・文化

農業を牛耳る「鹿児島トリオ」

畜産利権肥大と保護農政の醜悪

2023年8月号

 安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され死去して一年。岸田文雄政権の経済政策について「アベノミクスと大きな違いはない」(七月九日付朝日新聞)と断じる傾向が強いが、少なくとも農業政策に関しては、環太平洋連携協定(TPP)を締結し規制改革を推進した安倍政権の改革路線は頓挫した。
 変化に乏しくみえる農業政策だが、底では逆流が渦巻き、とりわけ政策決定プロセスにおいては「先祖返り」どころか、先祖も真っ青な前近代化が進んでいる。
 全国農業協同組合中央会(JA全中)は七月四日、中家徹会長の任期満了に伴う次期会長にJA鹿児島県中央会の山野徹会長を内定した。JA全中会長は、地域農協の組合長ら代議員(二百五十三人)による選挙で決めるが、対立候補がなく信任投票となり、有効投票総数二百四十五票のうち二百四十四票を得た。八月十八日に通常総会を経て就任する。民主的な手続きであり、どこが前近代的なのか。
 山野次期会長は、JAそお鹿児島農業協同組合(鹿児島県曽於市)組合長などを経て、二〇一七年からJA鹿児島県中央会、JA鹿児島県厚生連経営管理委員会、JA全共連鹿児島県本部運営委員会な・・・

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