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政治

《罪深きはこの官僚》小笠原 陽一(総務省情報流通行政局長)

放送業界で 悪評芬々の「タカリ屋」

2023年9月号

 旧郵政系の官僚の天下り先となる会社や団体を設立するための出資金集め―。にわかに信じがたい「仕事」を担っているのが、総務省情報流通行政局長の小笠原陽一だ。その強引な手法が放送業界内で疎まれ、七月人事で交代を望む声は強かったが期待は外れた。小笠原は留任し、二年目に突入した。
「箱作りが売り。関連会社を作るから、資金と人を出してくれが常套句」(NHKのOB)で、会社、団体、会議をやたらと作る。4K放送の立ち上げや放送通信の海外支援事業の関連会社設立の際にも「小笠原から電話があった」との情報が業界内で駆け巡った。
 業界にやんわり圧力をかけ資金提供させる。「奉加帳をもって業界幹部を回るのが彼の得意技。本音では顔も見たくない存在だ」(民放キー局元経営者)、「ここまで嫌われる官僚も珍しい」(総務省担当記者)、「もう振り回されるのは御免だ。松本剛明総務相は小笠原を早く切って欲しい」(民放キー局幹部)と陰口を叩かれてきた。
 一時は政治的公平性を定めた放送法四条の解釈を巡る行政文書問題での対応のまずさから、交代説が取り沙汰された。だが小笠原は部下に対し声高に「大臣のため・・・

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