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政治

《罪深きはこの官僚》奥野 真 (文部科学省大臣官房審議官)

悪しき「大学ファンド」 選考を主導

2023年10月号

 霞が関の有識者会議といえば、結論ありきで事務方の官僚がコントロールするものが多い。稀に、役人が制御できないケースもあるが、所詮有識者会議であり、大勢に影響を及ぼすことは少ない。しかし、デタラメな結論を出した挙げ句に、それが巨額予算の行方に影響するならば話は別だ。
 九月一日、官民合わせた十兆円のファンド運用益を「国際卓越研究大学」に選ばれた学校に分配するプロジェクトで、認定候補第一号に東北大学が選ばれた。しかし「東北大の教職員も当惑している」(同大関係者)という。文科省関係者が問題点を指摘する。
「東北大の掲げた計画は絵に描いた餅。実現可能性は皆無だ」
 今年三月末の締め切りまでに、東京大学や京都大学など、十の大学が申請を行った。卓越大になるためには、ガバナンス改革などが求められるほか、研究分野での目標設定も審査された。「荒唐無稽」(東大関係者)と言われる東北大が掲げた二十五年後の数値目標の一例は次のようなもの。
「Top一〇%論文の割合を二五%に」「民間企業からの研究資金等受け入れ額九百五十九億円」
 前者は被引用数で判断される高レ・・・

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