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経済

《クローズ・アップ》島田 太郎(東芝社長)

この一大転機に「超軽量級」トップ

2023年10月号

 東芝がとうとう上場廃止への道を踏み出した。日本産業パートナーズ(JIP)などの日本企業連合によるTOB(株式公開買い付け)が成立したからだ。経済団体連合会会長も出した格式ある超名門企業が、株式市場から自ら退出するという過去に例のない没落ぶり。その瞬間をトップの座で迎える島田太郎の心境はいかばかりか。
 だが本人がそんな感傷に浸っている気配は微塵もなさそうだ。既に島田の関心は、自身がいつまで社長の座に居続けられるかにしか向けられていないからだ。
 そもそも甲南大学理工学部を出て新明和工業で約十年間、航空機の設計業務をしていた島田に、なぜ東芝の社長の椅子が転がり込んだのか。新明和から米ソフトウエア会社に転職した島田は日本法人の社長を務め、そしてこの会社が独シーメンスに買収されたことでシーメンス日本法人の専務の座に上り詰めた。「実力はないが、わらしべ長者タイプ」(東芝関係者)。
 そして東芝の当時の車谷暢昭社長に「デジタルのわかる人材」としてスカウトされ、重厚長大企業の代表格でもあった東芝の変革を担う役回りを与えられた。
 東芝でもその「わらしべ長者・・・

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