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社会・文化

中国「対日世論工作」で新手口

関与疑われる「日経系列メディア」

2023年10月号

 中国政府がこのところ、ジェノサイド(集団虐殺)や強制労働の問題が指摘されている新疆ウイグル自治区のイメージアップ工作に力を入れている。SNSや政府系メディアだけでなく、ユーチューブなどの動画に登場して、広く情報発信できるインフルエンサーも動員している。
 手口は単純だ。登録者数が多い欧米人ユーチューバーなどにカネを払って新疆ウイグル自治区を訪問させ、動画を投稿させることで外国人向けに中国政府の伝えたいメッセージを拡散させるというもの。
 実際に投稿されているインフルエンサーたちの動画を見ると、外国人観光客向けに管理されたエリアを訪問し、明るく自由なウイグル地区を強調するようなプロパガンダ映像になっている。そしてインフルエンサーたちの中には「見ての通り、ジェノサイドが行われているというのはかなり疑わしい」と主張する者もいる。国連や欧米諸国から非難されているウイグル地区の深刻な人権侵害は「フェイク」だという中国政府の言い分に加担しているわけだ。
 実は、こうしたウイグルがらみのプロパガンダ工作は、日本でも行われている。公安警察関係者は眉をひそめて囁く。「日本・・・

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