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政治

岸田人事「失敗」の代償

ばら撒かれた「怨恨の火種」

2023年10月号

「一喜一憂するのではなくして、先送りできない課題について取り組み、結果を出すことによって、国民の期待に応えていく」
 九月十九日午前、首相官邸。国連総会出席のための米国ニューヨーク訪問に先立ち、内閣改造・自民党役員人事を受けた報道各社の世論調査で内閣支持率が伸び悩み、政権浮揚につながっていないと記者団に問われた岸田文雄首相はお決まりの言葉を口にした。
 改造後の新聞・通信六社の世論調査のうち、支持率が前月より上昇したのは朝日と共同通信のみ。毎日、産経は下落し、読売、日経は横ばいだった。改造の評価については、おおむね「評価しない」が「評価する」を大きく上回り、「御祝儀相場」が起きなかった。
「変化を力に」をキャッチフレーズに船出した第二次岸田再改造内閣だったが、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、松野博一官房長官ら「政権の骨格」を維持し、「変化なし」と捉えられた上に、来年の自民党総裁選をにらみ各派閥に配慮した人事が「変化より安定」と世論に見透かされた格好だ。
 岸田は九月二十五日、官邸で経済対策の概要を記者団に発表。十月中に経済対策を取りまとめた後、「・・・

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