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経済

コスモ石油を喰い荒らす「村上世彰」

「白馬の騎士」は関西電力か

2023年10月号

 果たして真の狙いは何なのか―。出光興産の首脳からは怨嗟の声が聞こえてくる。
「村上さんは恩人ではあるが、正直に言って迷惑している。コスモを買う意思はない」
 石油元売り三位、コスモエネルギーホールディングスの経営権をめぐり対立する、アクティビスト村上世彰と同社経営陣―。その攻防は新たな局面に入った。
 二〇%のコスモ株を保有する旧村上ファンド系陣営は七月二十七日、二四・五六%まで買い増す意向を表明した。追加取得に対し、コスモは真意をただす質問状を送り付けているが、その文書の遣り取りの中で村上側が「ある提案」をしていたことが判明したのだ。六月二十九日、両者の面談で示されたのは出光との資本提携、すなわちコスモは出光と製油所の統廃合を進め、風力発電子会社のコスモエコパワーも出光の出資を受け入れるということだ。
 コスモは提案を拒否はしなかったものの、村上の仲介を嫌い、出光と非公開の直接交渉を望んだ。これに「企業価値の向上策を提案しても具体的な進展がない」と癇を立て、村上側は買い増しを突き付けたのである。コスモは追加取得に対し、今月中に買収防衛策の発動・・・

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