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社会・文化

太公望よ「福島の海」を目指せ

漁場復興「釣り天国」が活況に

2023年10月号

 青々とした太平洋が遥か彼方まで広がる。福島県沖は親潮と黒潮が交錯する好漁場として昔から知られている。その海は、東日本大震災後に漁獲が制限されたことで、海産資源の回復につながり、漁獲高は増えたという。大型のババガレイ、ヒラメ、ヒラマサ、コチ、スズキなどを狙って、近年、釣り人が押し寄せ、さながら釣りバブルの様相だ。福島の海の魅力が広がっている。
「震災後に遊漁を再開したところ、明らかに釣れる魚の数が増え、型も良くなった」。福島県相馬市松川浦港で長年遊漁船を営んでいる船宿の船長は言う。福島の釣り人や、遊漁船の船主も口を揃える。
 福島の船釣りの人気魚種の一つはヒラメだ。一般に、釣ることが難しいとされる魚種であるが、「今年の最高は九十六センチ。重さ八キロくらいで、それも釣ったのは、そこまで釣りをしたことのない人」(船長)というから驚きだ。非常に濃い魚影のため、「餌をつけて投げ入れると、初心者でも大体釣れる」という。実際、ヒラメ釣りで初めての船釣りを経験する人や、小学生の子供と親子で釣りをしている様子も珍しくないという。
 福島のヒラメの主な船釣りの方法は、餌によ・・・

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