互助の美徳を表す「持ちつ持たれつ」の精神も、ここまでいけば悪徳でしかない。創業者による性加害問題で糾弾されているジャニーズ事務所とテレビ局の関係だ。「巨大権力」（民放キー局幹部）と化した存在に、権力監視の使命を持つ報道機関が膝を屈し、組織と幹部のために権力者の重い罪に見て見ぬふりを続け、報道番組まで差し出していた実態は、「報道汚染」とでも呼ぶべき腐敗だ。
　九月七日に行われたジャニーズ事務所の記者会見で新社長となった東山紀之は、十日からテレビ朝日系のニュース情報番組「サンデーＬＩＶＥ‼」のキャスターを降板すると表明した。小学六年生の時に渋谷で、同事務所の創業者、故ジャニー喜多川にスカウトされた東山も、今や五十七歳、同事務所の「長男」と言われ、創業者の側近と目されてもいた。
　テレビ朝日が東山をキャスターに起用したのは二〇一七年。アイドルも年をとれば、若い時と同じ売り方はできない。
　露出が約束され、イメージの幅も広がるキャスターは、喉から手が出るほど欲しい「肩書」だろう。事務所側は見返りに、事務所の人気タレントを看板番組に優先的に出演させる。テレビ朝日の・・・