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米共和党は俗悪な「内戦状態」

「フリーダム・コーカス」という難物

2023年11月号

 米国の共和党が、深刻な党内抗争に陥っている。ドナルド・トランプ前大統領を支持する過激な極右勢力と、共和党を本来の穏健保守に戻したい主流派の間で、「内戦」と形容される激しい対立が起きている。
 トランプ系保守派は、下院議長の選出から議会の運営まで、民主党そっちのけで、共和党主流派との対決に明け暮れる。十一月半ばには「つなぎ予算」が期限切れとなり、予算のつかないまま「政府閉鎖」の事態を迎えそうだ。
 二〇二四年一月十五日に始まる、米大統領選の共和党候補者選びでは、トランプ前大統領の圧倒的優位が伝えられている。共和党内の極右勢力はますます、主流穏健派との対決色を強めている。

極右勢力が大暴れ

 共和党の内戦は、十月二日、同党のマット・ゲーツ下院議員が「ケビン・マッカーシー下院議長解任」を求める動議を出して幕を開けた。下院議長の解任動議が可決されるのは、米国史上初。しかも、同じ党の議員から提出された。造反派の動議に、民主党が乗って、議長はあっさり失職した。
 ゲーツ下院議員ら極右派は、・・・

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