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ロシア諜報網「破壊工作」の猛威

米欧からガザまで「陰謀」連発

2023年11月号

 ロシアの工作活動への警戒が高まっている。各国選挙への干渉から破壊工作、暗殺まで、ロシア情報機関が暗躍している疑いがある。ウクライナに侵略し、欧米と対立するウラジーミル・プーチン政権の狙いは民主主義の破壊なのか。
 米国情報当局が十月、日本を含む世界百カ国超に、ある報告書を配布した。ロシアが、各国に張り巡らせるスパイ網やソーシャルメディア、国営メディアのプロパガンダを駆使して選挙に干渉しており、選挙の信頼性を損なわせ、民主国家を不安定にしようとしていると警告する内容だ。
 具体的に二〇二〇年から二二年の間に九カ国で米国大統領選を含む十一回の選挙に干渉し、十七カ国でも介入の動きが見られたと指摘する。偽情報の拡散だけでなく、ロシア情報機関が投票当日に抗議運動を組織したり、海外からの投票を妨害したりしたという。報告書は二四年の米大統領選への介入にも警戒感を露わにしている。
 直近では九月末にスロバキアで行われた議会選挙にロシアが干渉した疑いが濃厚だ。選挙ではロシア寄りの姿勢を鮮明にした元首相ロベルト・フィツォが率いる党が第一党に躍進した。フィツォは「ウクライナの・・・

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