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「中東再編」イスラエルの狡猾

仕組まれた「ハマス奇襲」の裏側

2023年11月号

 中東再編をめぐり、新たな駆け引きが始まった。
 ガザで火を噴いたイスラエル軍とハマスの戦闘は、長期化の様相を呈している。しかし、今回の戦いは、単なるパレスチナの領有をめぐる争いではないようだ。舞台裏では、中東再編の主導権争いが熱を帯びている。
 暗躍の中心はイランだ。サウジアラビアとの国交正常化を果たし、中東の安定を願っているように見せていたが、米国主導の中東再編にくさびを打ち込んだ。ハマスの越境攻撃はその序章に過ぎない。
 今年の前半、米国の政府高官は「中東で米国の影響力は影を潜めつつある」と懸念しながら、こう喝破していた。「ネタニヤフの首相就任以来、ガザの動きが異常だ。今年はパレスチナで衝突がエスカレートするかもしれない」。
 少なくとも米国は今年三月には、ガザの異変に気づいていたとみてよい。
 中東の現地記者は、「五月、イエメンのフーシ派が、パレスチナで戦う戦闘員を五千人ほど秘密裏に募集していた」と明かす。当時は何を意味していたか不透明であったが、今考えれば、イスラエル領への越境攻撃を着実に準備していたわけだ。
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