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西欧環境政党が 「反ユダヤ」に傾斜

ガザ紛争が炙り出した「人種問題」

2023年12月号

 ヨーロッパの環境団体・政党の間で、「反ユダヤ主義」が拡大している。ここ数年くすぶっていた問題が、イスラエル・ガザ戦争でにわかに脚光を浴びた。西欧では、アラブ系やイスラム教徒の移住が進む中で、有力な環境団体への参加も増えている。緑の党が連立与党に入るドイツでは、政府の姿勢が定まらないことに対して、イスラエルが厳しい目を向けている。
 欧州のユダヤ系や各国政府にとって、一番の衝撃はスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリ氏の行動だ。二十歳になった同氏は、環境問題以外にも積極的に発言する。十月七日に、ハマスがイスラエルを攻撃した後は、中東問題での立場が問われた。
 トゥンベリ氏は意外な行動で、各国政府を驚かせた。パレスチナのイスラム組織、ハマスを非難しないのだ。
 ハマスがイスラエルを攻撃した後、イスラエルが報復のロケット攻撃をすると、「世界は今こそ声を上げる時だ。パレスチナ人と攻撃を受けたすべての民間人の自由と正義のために、即時停戦を求める」と表明し、「イスラエルへの攻撃」について、全く触れなかった。
 イスラエル政府は、「何か誤解、または無理・・・

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