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中東の海「船舶攻撃」はまた起こる

スエズ運河は大丈夫か

2023年12月号

 東アジアから中東、さらに西欧へとつながる世界で最も重要な航路に「チョークポイント(難所)」と呼ばれる危険な海域が広がっている。
 中でも紅海からスエズ運河、東地中海へと抜ける航路は、イエメンの反政府組織フーシ派など民兵組織が重武装して海賊化し、船を襲っているケースが増えている。
 今年十一月にはフーシ派が、紅海を航行中だった日本郵船運航の大型輸送船「ギャラクシー・リーダー」号を乗っ取る事件が起きた。各地の武装勢力は戦闘力を強化する一途で、シーレーン防衛の必要性は世界中に広まっている。
 紅海で十一月に起きた事件では、フーシ派の「報道官」を標榜する男性が、自分たちが運営する衛星チャンネルで、「これはイスラエルの船だ」と繰り返した。イスラエルが過激派組織ハマスと交戦している最中のことで、あたかも政治的行動であるかのように、乗っ取りを正当化した。
 「フーシ派を名乗る連中の正体は、山賊または海賊だ。船を襲う前には、身代金が奪えそうかどうかをきちんと下調べしている。少しでもユダヤ系資本からの出資があれば、『イスラエルの船だ』と言い張る。政治的・・・

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