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社会・文化

沖縄「土地バブル」の深い闇

戦争由来「所有権」を巡る怪事件

2023年12月号

「バブルの亡霊」は、生きていた。
 那覇の市有地の所有権を巡り、便宜を図る見返りに現金五千万円を市議会議長室で受け取ったとして、沖縄県警は十一月十五日、前市議会議長の久高友弘(七十五)ら二人を収賄容疑で逮捕したが、兜町の住人を驚かせたのは、贈賄側の逮捕者に小池隆一(八十)の名前があったことだ。
 平成初期のバブル崩壊前後に相次いだ総会屋が関わった事件の中で、「小池隆一事件」とも呼ばれている旧第一勧業銀行を舞台にした利益供与事件ほど金融界を震撼させたものはないだろう。総会屋だった小池が、相次ぐ不祥事の発覚で株主総会乗り切りに戦々恐々としていた同行につけ入って総額四百六十億円にのぼる不正融資を引き出したうえ、その資金を元手に野村・大和・日興・山一の四大証券も揺さぶり、巨額の利益供与を受けた。戦後最大級の金融事件として、平成九(一九九七)年に東京地検特捜部が摘発し、小池のほか第一勧銀と四大証券の役員ら三十人余が起訴され、自殺者まで出た。捜査の過程で、第一勧銀が大蔵省(当時)幹部を「ノーパンしゃぶしゃぶ」で接待をしていたことが明るみに出て、大蔵省接待汚職事件捜査のきっかけを・・・

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