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アマゾン川が干上がる恐怖

地球をぶち壊す「沸騰化」が加速

2024年1月号

 流域面積で世界最大のアマゾン川が、観測史上最悪とされる干ばつに見舞われている。
 アマゾン川の流域面積(七百万平方キロメートル)は、日本の国土の十八倍超で、ブラジルの面積の六割に達する。ブラジルだけでなく南米大陸諸国の経済社会を支える大河が、記録的渇水に陥り、国際商品市場や南米経済全体に大きな不安を与えている。
 アマゾン川流域では近年乱開発が続き、森林伐採が急速に進んだ。アマゾンの熱帯雨林は、二酸化炭素を吸収して、「地球の肺」の役割を担っていたのに、その機能は急速に衰えている。文字通り大陸規模で進む気候変動危機に、南米各国政府は打つ手がない状況に追い込まれている。

流域の湖が消えていく

 ブラジル内陸にあるアマゾナス州の州都マナウス。行政上は「市」だが、面積は一万一千四百平方キロメートルに及ぶ。秋田県とほぼ同じ大きさである。
 マナウスの広大な市域内にも、「秘境」と呼べるような地点が数多く存在する。ここは、アマゾン観光の拠点で、人口二百万の大都市だ。
 マナウスのプ・・・

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