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ロシア正教会が「戦争協力」で暴走

ウクライナ「分断工作」の先兵に

2024年1月号

 ロシアとの戦闘が続くウクライナの議会で、ある法案の審議が進行している。ロシアとつながる宗教組織を解体する手続きを可能にする内容だ。ロシア系の教会の聖職者がロシアの侵略を支持している疑いが背景にある。信教の自由の問題も絡み、宗教を巡る対立が激しくなりつつある。
 ロシア正教会が発売した二〇二四年のカレンダーがウクライナで波紋を広げている。ロシア正教会の高位聖職者の写真を配したカレンダーには、ウクライナの教会の大主教オヌフリーら同国の教会の幹部が多く含まれていた。ロシアの全面侵攻後、ロシア正教会との断絶を明確に表明した何人かの聖職者の写真はなく、多くの教会幹部がなおモスクワと関係を維持していることをうかがわせている。
 東方正教会の信者が多数を占めるウクライナの教会は、ロシア正教会の傘下の教会(UOC)と二〇一九年に独立を果たしたウクライナ正教会(OCU)に割れている。
 二〇二二年二月二十四日、ロシアが全面侵攻を開始すると、UOCのトップであるオヌフリーはさすがに侵攻を批判し、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンに即時停戦を求めた。市民への無差別攻撃に訴える・・・

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