三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

誰も想像しない「林芳正総理」

人望なき「器用貧乏」の限界

2024年1月号

 何でも上手にできるから他人には重宝がられ、その結果、一つの事に徹しきれず、結局は大成しない。「器用貧乏人宝」とはよく言ったもので、実に四度目の「リリーフ登板」で左前になった岸田文雄内閣の官房長官に起用された衆議院議員・林芳正が「ポスト岸田」の最右翼に躍り出たと見る向きは、永田町ではほとんどいない。
 就任四日目、十二月十七日のNHK日曜討論。林は官僚の用意した国会答弁のような受け答えを続けた。リリーフ登板の多さを念頭に「誕生日が一月十九日なので『一一九番』と言われる」と冗談を言っても、スタジオには冷ややかな空気が流れるだけ。唯一、自身が座長を務める自由民主党の派閥・宏池会(岸田派)を官房長官在任中は離れる可能性を示唆したのがニュースになったぐらいだ。
 政策の理解力が高く人脈も豊富な林を、岸田は頼りにする。九月の内閣改造・党役員人事で林を外務大臣から外し、同じ宏池会の上川陽子を抜擢した時、多くのメディアが「唐突の交代」「林が不快感」などと報じたが、総裁派閥なのに入会者が増えない宏池会の立て直しが急務で、その中核を林が担う合意が岸田と林の間で以前からあったというのが・・・