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政治

特捜検察と安倍派の「遺恨試合」

裏金捜査に渦巻く「怨念」

2024年1月号

 浮沈が激しい永田町にあって、過去四半世紀で延べ五人の総理大臣を輩出し、栄華を謳歌してきた自民党最大派閥・安倍派(清和政策研究会)が、東京地検特捜部の一突きで瓦解しようとしている。
 東京地検特捜部が目を付けたのは、派閥のパーティー収入だ。神戸学院大教授・上脇博之が刑事告発したことを受けて捜査を開始すると、安倍派が収入の一部を政治資金収支報告書に記載していなかったことが、すぐに露呈した。政治資金規正法に違反しているのは明白だった。
 記載しておけば何のお咎めもない、お粗末至極の嫌疑だが、不記載・虚偽記入罪は、最大で禁錮五年に問われる重い罪。政治家には、公民権停止五年の「死刑宣告」に等しいおまけまでついてくる。
 とかく検察当局と因縁があった元首相、安倍晋三が会長を務めた派閥だけに、検察当局の政治的な思惑を勘ぐる噂は絶えない。特捜部は二〇二三年十二月十九日、安倍、二階両派の事務所を家宅捜索したが、二階派の捜索はあっという間に終わった。同じく多額の不記載が発覚した首相、岸田文雄のお膝元である宏池会には家宅捜索さえ行われなかった。
 なぜ、検察は安倍派・・・

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