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社会・文化

ブルゴーニュワインはもう飲むな

「価格狂騰」に踊らされる悲喜劇

2024年1月号

 コロナ禍を経たワイン愛好家には厳しい日々が続いている。プレミアム・ブルゴーニュにはもう手が届かない。ワインの格を落とすしかない。流通量も減っている。アルマン・ルソーやルーロ、アルヌー・ラショーなどを扱うインポーターは、造り手の要望を受けてネットショップを減らして、星付きレストランへの出荷に切り替えている。楽しんでいるのはIT実業家やインバウンドの富裕層に限られる。ナイトマーケットにはモノがあるが、サロンが百万円近い価格では手が出ない。
 ブルゴーニュワインの価格は下がる気配を見せない。最大の要因は円安だ。三年前の二〇二〇年十二月の為替は一ユーロ百二十六円台で推移していた。現在より三十円も安かった。ヨーロッパのインフレとウクライナ戦争の影響で、蔵出し価格も上がる一方だ。エネルギー料金が高止まりして、生産コストが上がっている。ワイン生産に必要なボトル、コルク、キャップシールなどの資材不足と価格上昇が続いている。特にフランスではコロナ後に勤労意欲が著しく減退しており、人件費も同時に上がっている。

「偏重」しすぎの日本市場{b・・・

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