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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》北海道「半導体利権」

五兆円投資の代償は「核のゴミ」

2024年1月号

 官民あげて国産半導体の再生に取り組む現代のゴールドラッシュの舞台となった北海道と九州の違いが、鮮明になりつつある。熱に浮かされたような生産拠点の北海道への誘致の先に、華やかな企業城下町の広がりとは異なる「核のゴミ」絡みの未来が浮かび上がってきたからだ。
 北の大地の玄関口、北海道の新千歳空港に隣接する工業団地「千歳美々ワールド」では師走も、国策半導体企業・ラピダスの工場建設の槌音が響いていた。さぞかし地元は活気づいているかと思いきや、北海道の財界関係者からは「本当に千歳が世界最先端の半導体工場になるのか。熊本と違い、実際に作るモノが完成していないのが不安だ」との声が漏れる。
 経済産業省の旗振りで始動したラピダスの掲げる「プロセスノード(半導体の製造技術の世代)が二ナノメートル(nm)レベルの半導体の量産」は視界不良だ。そもそも二nm半導体は理論上でしか「完成」しておらず、国際企業の協力がどこまで得られるかも不安視され、販売する顧客の開拓もこれからだからだ。
 専門紙の関係者は「工場で作る二nmの半導体生産技術の確立は困難を極める。張り切って工場のハコだ・・・

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