三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

三井物産「北極圏LNG」の落とし前

「血塗られたガス」でどう稼ぐか

2024年2月号

 三井物産の会長・安永竜夫は新春、何に思いを巡らせていただろうか。ある資源関係者は皮肉交じりにこう忖度する。
「自らの不明を恥じていたか、それとも、秋の米国大統領選挙の行方を占っていたか……」
 北極圏ロシアの巨大LNG(液化天然ガス)プロジェクト「アークティック2」―。それを昨年11月2日、米国のジョー・バイデン政権が対ロ制裁の対象に指定したことは国内外に大きな衝撃を与えた。2019年6月当時、社長だった安永の肝煎りで三井物産が大枚4千億円をはたき、10%の権益を取得した案件である。
 開発主体であるロシアのガス大手、ノバテクはようやく第一LNGプラントの竣工に漕ぎ着けたが、制裁指定された以上、もはや出荷は難しい。それどころか、三井物産はノバテクとの提携を続ければ、米国市場から放逐されかねないのだ。すでに合弁会社へ出向させた社員三人を引き揚げた。
 事実上の撤退と言え、ロシアビジネスのリスクを見誤った安永の痛恨事だ。「いや、そうでもない」と、電力会社の幹部は囁いた。
「一時凍結だろう。その証拠に薙野氏は執行・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます