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政治

黄昏・安倍派は「三分裂」へ

跡目なき「清和会」の終焉

2024年2月号

 自民党最大派閥・安倍派(清和政策研究会、96人)が、派閥解散を決めた1月19日の臨時議員総会。自民党本部の会議室には、所属議員の3分の2以上にあたる70人近くが出席し、安倍派座長の塩谷立や事務総長・髙木毅ら派閥幹部が深々と頭を下げた。ただ、安倍派「五人衆」の筆頭格であるあの男の姿はなかった。
 このとき自民党前政調会長・萩生田光一は、地元の東京・八王子市にいた。2日後に投開票が迫っていた市長選で、彼が支援する与党候補が、立憲民主、共産両党などが推薦した野党候補に大苦戦を強いられていたからだ。
 起死回生の一手として八王子入りを懇請した都知事・小池百合子の街頭演説を萩生田は、そばで見守るだけだったが、「ここで野党候補が勝てば、次期衆院選の勝ち目はない」(周辺)という強烈な危機感を抱いた彼は、元環境相の小泉進次郎、前首相の菅義偉ら人気者や大物政治家を次々と八王子に呼びこんだ。
 しかし、情勢は一進一退のまま投票日を迎え、朝日新聞が、当日の出口調査(都道府県庁所在地以外の首長選挙で、新聞社が出口調査を実施するのは極めて異例)をもとに投票終了後、「野党系やや先行・・・