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政治

それでも岸田の世は続く「倦怠政界」

裏金も震災も延命の「追い風」

2024年2月号

 最近の永田町、霞が関の空気を表現するなら、「ほぼキシ」だろうか。1年前には困難とされた11月の米国大統領選でのドナルド・トランプの返り咲きの可能性が高まり、はやり言葉も「もしトラ(もしトランプが勝ったら)」から「ほぼトラ(ほぼトランプが勝つ)」となりつつあるように、秋の自民党総裁選に向け、総理大臣・岸田文雄の再選をめぐる予想が大きく変わり始めている。
 見え見えの人気取りと見透かされた「定額減税」で内閣支持率が下降したところに、自民党の主要派閥が政治資金パーティー券の売り上げを政治資金収支報告書に記載せずに所属議員に還流するなどした「裏金」作りに捜査のメスが入り、岸田内閣の命運は尽きたとの見方が広がったのは昨年暮れのことだ。この頃、岸田は周辺に「ここは博打を打つしかない」と心情を吐露していた。周辺は「この低支持率で衆議院解散総選挙に踏み切るつもりか」と焦ったが、岸田が解散を思い描いた対象は衆議院ではなく、派閥の方だった。
 自民党はパーティー券問題で告発された直後から内部調査を進め、常習性、悪質性、組織性の点で逃れられないと判断、東京地検特捜部が狙う「本丸」は安倍・・・