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社会・文化

国交省とJAL「責任逃れ」の悪辣

羽田事故で露呈した「安全軽視」

2024年2月号

 東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機が衝突した事故は、火だるまの機体の映像が国内外に大きな衝撃を与えた。現時点では「海保機の機長が管制官から滑走路進入許可を得たと誤認し、滑走路に進入したことが事故の原因」との見方が強い。だが、管制を管轄する国土交通省航空局やJALに、本当に過失はなかったのか。事故からは、世界有数の過密空港である羽田での「安全軽視」ともいえる双方の姿が浮かび上がってくる。
 事故は年始の帰省ラッシュを迎えた1月2日午後5時47分に発生した。羽田空港C滑走路に着陸したJAL516便が、能登半島地震被災地への支援物資を積み、新潟に向かおうとしていた海保の小型機と衝突、炎上した。JAL機の乗員・乗客379人は全員脱出したものの、海保機は乗組員6人のうち、副機長や整備員、通信士ら5人が全身挫滅で死亡した。かろうじて脱出した機長は、全身大やけどの重傷を負った。
 国交省が発表した交信記録によれば、羽田空港の管制官は午後5時43~44分、JAL機に対し、「こんばんは。滑走路34Rに進入を継続してください」「滑走路34R 着陸支障なし・・・