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米民間軍事会社が「急成長中」

中露との「代理抗争」が追い風に

2024年3月号

 米国の民間軍事企業が、この業界の世界市場を席巻している。知名度こそロシアの「ワグネル・グループ」に後れをとるが、数十社がひしめき合って事業規模は膨れ上がるばかりだ。「死の商人」「現代の傭兵」と呼ばれながら、世界中で注文は増え続ける。「軍事」は米経済の柱の一つである。
 米国の軍事会社の伸長ぶりを象徴するのが、首都ワシントンに本社を置く「バンクロフト・グローバル・デベロップメント」だ。創業者のマイケル・ストック氏は、米原子力委員会の委員長だったルイス・ストロース氏を曾祖父に持つ。米エスタブリッシュメントの中でも名家の出身と言える。本人もてらいなく「事業を始める時には(名門出身が)役立った」と認める。今年四十七歳という、若い経営者である。
 ストック氏は米プリンストン大学を卒業後、米陸軍のエリート部隊「デルタフォース」などに配属された。除隊後、1999年にバンクロフト社を創設した。その理由について同氏は後に、「他人に命令されるのが嫌いだったから」と語った。軍は上意下達が絶対の組織である。
 米国は、2001年に国際テロ組織「アルカーイダ」による同時多発テロの・・・

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