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中東紛争で「独り勝ち」の中国

「覇権拡大」を阻めない米国

2024年3月号

 中国はガザ紛争を利用して、米欧を遠のけ、中東での利権をさらに横取りしようと画策している。
 ガザ紛争が始まると、米国はハマスの後ろ盾となっているイランの関与を防ぐため、たびたび中国へ働きかけを要請した。
 しかし、中国は人道支援の重要性と死に体となっている「二国家解決」の必要性を訴え、いつもの正論でお茶を濁している。
 中国は決してガザ紛争に無関心でいるわけではない。中国はイスラエルのガザ侵攻で国際的信用を失いつつある米国を晒しものにすることで、中東で新たなゲームを始めようとしているのだ。
「中国はハマスの動きを詳細に把握している」
 中東の高官は静かに口を開いた。
「中国はイランではなく独自のネットワークでハマスやフーシ派の動きを捉えている」と驚きの言葉を発した。
「イエメンやエジプトにはアラブ人に紛れて中国人の秘密部隊が潜り込んでいる。最初に見たときはエジプト人かと思ったよ」と目を見開いた。
 エジプトにはウイグル系の中国人が一時集団で留学していた時期がある。
 ただ、イスラム国(IS)が中・・・