１月の米雇用統計は市場予測を大きく上回り「驚くべき上振れとなった１年前」を再現した。最重要である雇用に関連する経済指標における予想と結果のズレが、市場関係者を悩ませている。雇用をめぐる情勢は大きな変革期にある。「強い雇用」の謎について考えてみたい。
「非農業部門雇用者数は前月比で合計３５万３千人増加。失業率３．７％」。１月の雇用統計に市場関係者から「この数字は何だ」という声が漏れた。市場予想では非農業部門雇用者数は１８万５千人の増加、失業率は３．８％と見込まれていた。
　１月は季節調整が大きいが、それにしても何かがおかしい。
　雇用情勢の変化は論点が多い。
　●人口動態（高齢化）●デジタルプラットフォーム等の構造変化（リモートワーク化、ギグワーク化）●政策（トランプ政権による移民流入制限、バイデン政権のバラマキによる労働参加率の更なる低下、政府雇用の増加）●パンデミックの影響●今の景気の特徴である求人件数の多さ●その他の社会的変化●労働市場（完全失業率など）に対する認識そのものの変化―が主なところだ。

考慮すべきギグエコノミー・・・