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欧州機関「女性2トップ」の苦難

政治と経済で試練の日々

2024年4月号

 欧州連合(EU)が政治の世界での「男女平等」確立を目指して、苦闘している。政治や経済の要職に、続々と女性が進出しているが、誰がやっても困難な時代に、かじ取りは容易ではない。
 欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、ロシアによるウクライナ侵攻という難局にあって、加盟各国を束ねるのに四苦八苦で、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、インフレーションとの戦いに日々追われている。
 ドイツ人のフォンデアライエン委員長と、スペイン人(より正確にはカタルーニャ人)のジョセップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)の対立が、ヒートアップする一方だ。
 これは「女対男」の戦いなのか、それとも「生真面目なドイツ人対享楽的なスペイン人の戦い」なのか。たぶん、どちらにも若干の真実が含まれているだろう。
 特に昨年十月、イスラエルがガザ侵攻を開始して以後、口では非難しながら真剣にイスラエルを止めようとしないフォンデアライエン委員長に対して、ボレル上級代表は批判の声を上げ続けた。普通の国の政府で言えば、閣内不一致。「首相と外相の・・・

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