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インドは民主主義国なのか

モディ「宗教過激主義」の暗闇

2024年4月号

「世界最大の民主主義国家」と称されるインドで四月から六月にかけて、下院選挙が実施される。ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が優勢で、モディ政権の三期目入りはほぼ確実な情勢だ。しかし、モディは二〇一四年の第一次政権発足からヒンドゥー至上主義を加速させ、イスラム教徒の排除を鮮明にしてきた。政権に批判的なメディアや人権活動家に対する締め付けも強化しており、現地では「モディは(独裁者の)ヒトラーのようになりつつある」との声さえ聞かれ始めた。
 選挙管理委員会によれば、投票は四月十九日を皮切りに六月一日まで七回に分けて実施され、六月四日に開票される。インド独立運動の指導者で、初代首相を務めたジャワハルラール・ネルーに次ぐ三期目を目指すモディは事実上、選挙モードに入っている。
 モディ政権は三月十一日、BJPがかねて公約に掲げていた「市民権改正法」を施行すると発表した。この法律は、アフガニスタン、バングラデシュ、パキスタンの近隣三カ国から一四年十二月三十一日以前に入国した不法移民に市民権を与えるものだ。ただし、市民権を認められるのは、ヒンドゥー教徒、シーク教・・・

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