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政治

「秘書政治の権化」森喜朗の終幕

《政界スキャン》

2024年4月号

 森喜朗はなぜ首相になれたか。二〇〇〇年四月、小渕恵三首相が脳梗塞で倒れた。日曜日だったので、永田町近くのホテルに午後と深夜、政府・自民党幹部が集まった。青木幹雄官房長官、森幹事長、野中広務幹事長代理、亀井静香政調会長、村上正邦参院議員会長。そこで青木の首相臨時代理と森の後継首相が決まった。有名な「密室の五人組」である。
 口火は村上が切った。「森でいいじゃないか」。総裁が倒れ、党で支えていたナンバー2に代わるのは筋が通る。「いいんじゃないの。やりたいんだろ」。亀井が水を向けると、森は満更でもなさそうな顔をしたらしい。野中がどこかに電話し「連立相手の公明党もいいようだ」と言った。病欠した池田行彦総務会長(宏池会)も承諾。三日後の党両院議員総会に執行部が推薦し、了承された。
 手続きは踏んでいる。だが、話もできなかった病床の小渕から、青木が臨時代理を託されたと言い張り、記者会見で「疑えばきりがない。首相と官房長官は親子兄弟以上の仲だから信じてもらうしかない」と開き直った不遜さと相まって、密室協議への不信感は後々まで尾を引いた。
 とはいえ、小沢一郎の自由党が・・・

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