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経済

政策保有株は 「絶対悪」なのか

地方銀行が抱える「特別な事情」

2024年4月号

 上場企業の保有する政策保有株式に厳しい視線が注がれている。意味の薄い資産を処分し、より効率的な投資に回せという主張で、外資ファンドや議決権行使助言会社が要求し、経済産業省や金融庁も乗っかっている。株持ち合いが健全な企業ガバナンスや長期的な成長の阻害要因になりかねないのは確かだが、処分で得た資金の大半は将来への投資ではなく、株主還元に回されるだけ。銀行が含み益のある株を処分し、一時的な株主還元に回せば外債運用など将来のリスク負担力が低下、さらに中小企業や個人向け融資のハードルを上げざるを得なくなる。助言会社の主張を慎重に見極める時だ。
 6月の上場企業の株主総会シーズンに向け、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスの議決権行使助言会社の両雄が政策保有株に関し、厳しい要求を突きつけている。ISSは連結純資産に占める政策保有株(簿価)比率が20%以上の企業、グラスルイスに至っては10%以上の企業の経営トップの選任に反対するよう株主に推奨している。
 両社は昨年も同じ要求を掲げたが、今年は留保条件などをより厳密にし、履行を強く求めて・・・

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