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政治

「六月解散」岸田の大博打

反対勢力との「冷たい攻防戦」

2024年4月号

「憲法観も安全保障観もバラバラの野党に任せるわけには絶対にいかない」。三月十七日、東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた自民党大会。岸田文雄首相があいさつで声を張り上げた。これに先立つ来賓あいさつで、派閥の政治資金パーティーの裏金事件を念頭に「二〇一二年に政権奪還をして以来、最大の試練に直面している」とした公明党の山口那津男代表の警告もどこ吹く風の昂揚ぶりに、出席者は「これは自らの手で衆院解散を考えている」と囁き合った。
 内閣支持率が二〇%台と「危険水域」が続く中、秋の自民党総裁選での再選を目指す岸田。そのためにも総裁選前の衆院選を乗り切る戦略だ。党大会で「六月には一人四万円の減税を行う。賃金が上がることが当たり前だとの意識が行き渡れば、日本経済は必ず再生する」と強調したように、思い描くのは六月の会期末解散だ。
 三月十九日には日本銀行が賃上げを背景に「マイナス金利政策」解除に踏み切った。同日午後の日銀の植田和男総裁との会談後、岸田は「就任以来、重点的に取り組んできた賃上げ、投資、企業の稼ぐ力に前向きな動きが見られる」と自らの経済政策を自画自賛した。た・・・

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