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日米「太平洋防衛」の見かけ倒れ

米海軍増強は日本のカネが頼り

2024年5月号

岸田文雄首相が4月の訪米で「かつてなく強固」と称えた日米同盟に、重大な弱点が浮かび上がっている。米国の防衛産業が以前の生産能力を失い、日本やオーストラリアなど同盟諸国の供給力も限界を露呈しているのだ。
四月には、米国のロイド・オースティン国防長官が、米英豪でつくる新型原子力潜水艦供給の取り決めを含む安全保障に関する枠組み「AUKUS」に、日本の協力を求める意向を示した。三国だけでは財政的・技術的に無理と判断したものだ。
日本が加わっても、東太平洋で必要な新型潜水艦が、不足し続ける可能性は高い。岸田政権は米英豪の「泥船」に乗った形で、日本の防衛力増強構想は長期にわたって迷走しそうだ。

訪米で飲まされた「劇薬」

降って湧いたような「AUKUS」参加要請の伏線には、三国合意の迷走と手詰まりがあった。
2021年の合意によれば、オーストラリアは米国から新型原潜1~3隻を10年ほど後(30年代初頭)に受け取る。その間には、「つなぎ」として英国から旧式の潜水艦の供給を受ける。
異変・・・

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