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経済

《企業研究》小林製薬

「紅麹禍」で問われる真価

2024年5月号

少なくとも「記録」が途絶えることだけは間違いなかろう。紅麹原料を含む機能性表示食品の摂取に伴う深刻な健康被害を引き起こした製造元の小林製薬―。
同社は2023年12月期まで実に「26期連続最終増益」「25期連続増配」という快進撃を演じてきた。新型コロナウイルス禍による経済停滞などで売上高が大きく落ち込んで記録継続が危ぶまれた20年12月期もコスト削減などで乗り切り、わずか前期比0.5%の伸びながら192億円の最終利益を確保。4
円増配を成し遂げている。
今年2月時点では24年12月期も「増益」「増配」を計画。それどころか25年12月期にかけ、増益記録を28期、増配記録を27期まで伸ばすとも謳ってきた。だが3月下旬に不祥事が表面化。情勢は一気に暗転する。市場関係者の一人は「事件の処理・収束化に向けた様々な損失計上を強いられ最早、今12月期の減益は不可避。最終赤字転落も視野に入る」と言い切る。
被害は広がっている。サプリメント服用が原因とみられる死者は当初「確認されていない」としていたが、重篤な腎疾患などで4月18日時点までに5人が死亡。「6人」とし・・・

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