２０２５年12月初頭、マスコミ紙誌などでその数字を目にした北海道電力の人事担当者は一瞬、我が目を疑ったという。ニトリホールディングス（ＨＤ）「６３０人」と記載されていたからだ。26年春大学卒業予定の採用内定者数で、25年の採用実績からほぼ半減する。
　ニトリは「大学生の３・５人に１人がエントリーシートを送る」と言われるほど就職人気の高い企業だ。「文系総合」を対象としたマイナビ・日経の人気ランキングではみずほフィナンシャルグループなどのメガバンクや伊藤忠商事をはじめとした総合商社を押さえて３年連続首位。25年の採用実績は１１５５人に達し、24年も９８３人を受け入れた。
　まして同社は25年６月に「公正採用宣言」を発表して、特定の人材が有利になるような非公開の採用ルートはないと明言。
　不合格の場合でも学生にできる限りその理由を伝えて透明性を確保することや、社外の弁護士事務所に相談窓口を設けることなどを打ち出して学生らへの訴求を進めていた。それがフタを開けてみれば、大幅な採用の絞り込みである。
「中期的な事業計画に基づき採用人数を減らすことにした。・・・