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社会・文化

大学生「AI依存」が止まらず

卒論も「お任せ」で空洞の4年間

2026年3月号

 日本の大学に異常事態が起きている。4年生にとって最後の関門である卒業論文の質が劇的に向上、未提出で留年というケースが減少した。学生の大半が論文作成に生成AIを使い、資料集めから考察、執筆までお任せにしているからだ。「構成、文章では非の打ち所がない」という卒論が続発、「すべてA(優秀)以上の評価にせざるを得ない」(都内の大学教授)という。一方、学生は論理的思考力、文章力を鍛える機会を逃し、知識を蓄える意識すら薄れ始めている。社会人に必要な知的能力を身につけるという大学の意義はAIに打ち砕かれつつある。
「大学に奉職して30年余になるが、これほど高い水準の卒論ばかりを読んだのは初めてだ」。1月中旬、都内で開かれた社会学系の研究会で、定年退職を控えた教授がこう口火を切ると、同感の声が広がった。
 大学教員にとって毎年、頭を抱え、指導に苦労するのが卒論だった。3年生までに課される文章課題はリポートが大半で、材料やデータを集め、整理し、そこから得られる考察を記す程度。分量も3千~5千字程度が大半。これが卒論となれば、基準は2万字以上となり、仮説設定とその検証、深掘りした考察・・・

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