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社会・文化

花粉症「特効薬」はなぜ普及しない

重症患者「見殺し」の厚労省

2026年3月号

 スギ花粉症がピークを迎えている。鼻水や目の痒みに苦しみ、外出など生活の制限を余儀なくされる患者が急増している。実は、その症状を劇的に緩和するゾレア(一般名オマリズマブ)という「特効薬」があり、薬事承認もされている。ところが、この薬は十分に活用されていない。高い薬価がネックとなり、厚生労働省の方針で事実上、使用が制約されているからだ。製薬企業、医療界も動きは鈍い。
 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が2019年に実施した調査によれば、花粉症の有病率は42・5%で、1998年の16・2%から急増している。さらに、ゾレアを開発したスイスのノバルティスファーマが2020年に公表した調査では、スギ花粉症患者の49・6%が日常生活の質(QOL)を著しく損なう「重症」以上に分類された。
 ゾレアは、アレルギー反応を媒介するIgEを標的とする抗体である。体重と血中IgE濃度に基づく用量を、2~4週間ごとに皮下注射で投与する。注射部位の疼痛や腫脹を生じることがあるが、多くは軽度で数日で消失する。花粉症治療で汎用される抗ヒスタミン剤のように眠気を催すこともない。
 ノバルティス・・・

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