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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》NHK(日本放送協会)

指導者不在のメディア帝国

2010年1月号

 B級、C級タレントが戯れるだけの民放番組と比べて、「NHKはまだまし」と考えている国民がいるとしたら、それは考え直さねばなるまい。特殊法人、NHK(日本放送協会)が設立されて今年で六十年。「公共放送」という金科玉条を右手でかざしつつ、左手では商業主義に根差した子会社・孫会社群の自己増殖を続け、瞬く間に「メディア帝国」と呼べるほどまでに変貌を遂げた巨大組織は今、実はリーダーの不在で漂流している。
 根強い民業圧迫という批判をよそに放送の素人が経営をいじくりまわし、それを「NHK官僚」が無批判に踏襲。一方で、数々の不祥事を経ても温存された技術系、組合系職員たちは市場競争とは無縁のラストリゾートをいまだに享受する。その構造的病理を知れば知るほど「最悪の特殊法人」との感を強くするに違いない。労使双方が共謀して隠し続ける「企業年金」問題という時限爆弾も抱えながら、自己変革の兆しすら見せないNHKは、破綻の瀬戸際にいる旧国営企業、日本航空の姿と重なって見える。

ジャーナリズムとは無縁の風土


 か・・・