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WORLD

「非現実」のままのCO2排出権取引

国際ルールすら定まらない

2010年2月号

 地球温暖化防止を目指す国際交渉が挫折し、規制策合意のめどが立ってない。昨年十二月、国連気候変動枠組み条約第十五回締約国会議(COP15)は温室効果ガスの排出削減目標を決められなかった。それに伴い、欧州排出量価格(炭素価格)は急落し、弱含みのままだ。環境ビジネスの市場心理は、いまだ骨格の固まらない制度の実現性を危ぶむ展開を続けるだろう。
 十二月十九日、デンマーク・コペンハーゲンで閉幕したCOP15は、京都議定書に定められていない二〇一三年以降の国際的な温暖化対策に合意することを目的にしていた。気候変動枠組み条約会議では初めて首脳級会合が開かれ十時間以上に及んだが、決定事項は次の一文だけだった。
「会議参加国は『コペンハーゲン協定』に留意する」
「留意」の表現をみて、国際交渉の文書を知る人ならば、すぐに感づいたはずだ。これは、英文の“takenote”の訳語である。「提案に反対しても排除できない」などと判断した場合に使われる国連ガイドラインの動詞十二語のうち、一番最後に示されている言葉が「テーク・ノート」だ。つまり、聞き置くだ・・・