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社会・文化

急増する「大規模山林売買」

国土強奪に「外資」が暗躍か

2010年2月号

 地図を広げてみよう。桂川の下流部は名前が変わって相模川になる。そこには厚木市、平塚市などの市街地が控える。神奈川県下の住民の多くは、この川の恩恵にあずかっているのだが、その水源域に触手が伸びている。
 埼玉県下でも同様の事例がある。
「一山全部を買いたい。いい地所があったら売ってほしい」
 五年程前から山に関心を示す外資の話が出てきた。大手商社マンは、海外──中国からの要望があることを地元森林関係者に伝えた。当地はゴルフ場銀座で、産業廃棄物問題も抱えている。そういった山の斡旋はしたくないと地元は拒んでいる。転売した先への懸念があるからだ。ほかにも、大手商社から「調査目的」で大規模面積の山を早急に購入したいという話もきている。貴重な国土資源を買収しようと暗躍する不気味な外資の動きが次々と報告されている。

売買実態が掴めない


 こうした外資による山林売買の理由は何か。我が国の林業は深刻な低迷が続き、林地価格は十八年連続で下落を続ける。もうこれ以上の値下がりはないと見越・・・