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WORLD

崩壊する「ユーロ神話」

今年は欧州「蹉跌の年」に

2010年3月号

 十二年目に入った欧州単一通貨「ユーロ」が最大の危機を迎えた。問題児・ギリシャの債務超過が顕在化しているのに、弱点を修正する仕組みがない。さらに、加盟国が米投資銀行のプロに「粉飾」まがいの債務隠しをさせたことも次々と発覚している。
 二月十日。欧州連合(EU)の指導者たちは、形容しがたい怒りに襲われた。EU加盟二十七カ国の首脳が、ギリシャの債務超過問題を電話で会議するさなか、アテネではゼネストが起きていた。スト参加者たちは、増税や歳出削減には「断固反対」と気勢をあげ、EUの旗まで燃やされた。
 翌十一日、EU臨時首脳会議が招集された。「EUはギリシャを支援する」という声明をまとめたものの、姿勢は完全に及び腰。市場の不安を払拭するにはほど遠かった。「主要国政府の関係者は『何でこんな国を救済しなくちゃいかんのか』とカンカンだった。みな、同じ思いだったでしょう」と、ブリュッセルの駐在記者は言う。
 ギリシャ政府の財政赤字は、公式統計に表れただけで二〇〇九年の国内総生産(GDP)の約一三%。累積対外債務は同国GDPに匹敵する三千億ドル超。一九九〇年代にアジア・・・