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政治

戦略なき岡田外交の「大罪」

「お坊ちゃん」にはどだい無理

2010年3月号

 中東のある国の外交官がこんな疑問を口にした。
「鳩山政権の外交政策の『官僚依存度』はどの程度だろうか」
 政治主導と言いながら、「事業仕分け」や、二〇一〇年度予算案編成では財務省が主導権を握った実態は知られている。では、外交・安全保障政策での政治主導の実態はどうなのか、と。
「イランの核開発問題、パレスチナ問題などで鳩山政権は何も発信していない。一体、誰が中東政策を組み立てているのか」と、この外交官は首を傾げる。

地域課のエゴで「縦割り外交」に


 鳩山由紀夫総理大臣は就任以来、「友愛外交」、「米国との対等な関係」、「東アジア共同体」など、あいまいな理念を振り回してきた。それでも米中に関しては、善し悪しは別に、一定のメッセージを発信してきたと言っていい。それが、東は「Beyond the US」の、西は「Beyond China」の戦略が見えない。岡田克也外務大臣の存在感も極めて薄い。
 ならば、外交・安保政策が官僚主導で進められているかというと、そう簡単・・・