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経済

トヨタの「受難」は米国で終わらない

中国、インドでも展望は暗い

2010年4月号

「プリウス」をはじめとする史上最大級のリコール(回収・無償修理)騒動で、「火だるま」のトヨタ自動車。米国では議会による追及の手は緩まず、ユーザーからの損害賠償請求も増加する一方だ。「品質のトヨタ」という消費者の信頼を裏切ったことにより、最大の収益源である米国販売は低迷が続き、トヨタの屋台骨は大きく揺らいでいる。しかも「トヨタの凋落」は、世界中に「飛び火」している。とりわけ深刻なのが、中国やインドなどの新興国市場だ。「現在」のドル箱である米国市場が失速し、「将来」の収益源である新興国市場でも伸び悩むトヨタ。急展開した「グローバル敗戦」にブレーキがかからない。

早すぎた中国での高級車路線


「こんな大ごとになるとは、予想もしていなかった」と、トヨタ関係者は頭を抱える。「大ごと」とは、米国でのリコール騒ぎと販売不振ではない。米国を追い抜き、世界最大の自動車市場に成長した中国での停滞だ。「中国でのトヨタは強いとは言えなかったが、このところホンダや日産自動車などの日本勢に比べても成長が鈍い」と、前出のトヨタ・・・