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連載

あるコスモポリタンの憂国 連載39

東工大・清華大合同プログラムの先
紺野 大介(清華大学招聘教授)

2010年4月号

 東京工業大学と中国の清華大学・大学院修士課程合同プログラムがスタートし丸五年がたった。資料によればこの間、東工大から二十名、清華大から六十四名、合計八十四名の学生が参加。三年前からは博士後期課程の合同プログラムもスタートし一、二期生からは相手大学の博士後期課程に入学した学生もいる、とのことである。二十一世紀に入り、日中関係は産業経済、人的交流等の各断面で結びつきをそれまで以上に強めている。「東工大・清華大大学院合同プログラム」による学術交流は、双方の学生が刺激されることで国際化への相乗効果が期待され、関係をより深化させる人材育成の実験の場として堅牢な実を結びつつある。
 両国の四月と九月の学期制度スタートの違いを乗り越え、修士課程はバイオコース、ナノテクコース及び社会理工学といった社会科学領域まで含め三コースがある。このプログラムの最大の特徴は、修士課程に参加した学生に対し、単位取得後は両大学から学位が贈られる「デュアル・ディグリー」制度。学生の将来に様々な意味で大きな可能性を付与するもので、次世代の日中関係の発展などにも影響して行くであろう。
 馬齢を重ねている・・・