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連載

皇室の風 連載 20

皇太子と『誡太子書』
岩井 克己

2010年4月号

 鎌倉時代、花園天皇が光厳天皇に与えた『誡太子書』と、南北朝争乱を誠実に生きた光厳の生涯を本稿で紹介したところ、皇太子が、二月二十三日の誕生日の会見で『誡太子書』に言及した。
「歴代天皇のご事蹟を学ぶ中で、第九十五代の花園天皇が、当時の皇太子―後の光厳天皇にあてて書き残した書に、まず徳を積むことの重要性を説き、そのためには学問をしなければいけないと説いておられることに感銘を受けたことを思い出します。(略)『学問』とは、単に博学になるということだけではなくて、人間として学ぶべき道義や礼義をも含めての意味で使われた言葉です。私も、五十歳になって改めて学ぶことの大切さを認識しています」
 また、父天皇が五十歳の誕生日会見で語った「忠恕」の精神について「『忠恕』とは、自分自身の誠実さとそこから来る他人への思いやりのこと」「他人への思いやりの心を持ちながら、世の中のため、あるいは人のために私としてできることをやっていきたいと改めて思っております」と語った。
 一方、愛子内親王について「学校生活にも、すっかり慣れて毎日楽しんで通学しています。学校の先生方やお友達にもと・・・